3 直流電源装置
電気設備を設計する際、直流電源装置は重要な位置づけです。遮断器の操作回路、保護回路、自家発電設備の
励磁装置等に使用されます。
昔、設備の増設計画があり、受電にループ給電のため遮断器(VCB)を2台設置する設計案件がありました。
VCBの操作・保護はDC100Vが必要な設計となっていました。
基本設計(検討漏れ)では、直流電源装置が漏れており、予算も計上されていませんでした。
近傍の電気室には、UPS電源がありましたが、直流電源装置が設置されていませんでした。
本来、UPSもバッテリーを使用しているため、当初から計画すればUPSのバッテリーからDC100Vを直接
取り出しができます。
ただ、このUPSは制御機器専用に配電する目的のためDC200V仕様で、出力電圧はAC400V。
DC100V出力はありませんでした。
既設電気室は、受電の遮断器(VCB)を置くべきところ、部屋が狭い(基本設計の失敗)ので天井つり下げのPGSを設置していました。
このため、既存設備としてはDC100Vを必要としませんでした。今では、そのような設計は行いません。(先輩の苦労がしのばれる)
増設した設備にも制御設備(CTR、SQCなど)が設置されていたためUPSから電源を供給する予定になっていました。
直流電源装置を新たに計画するかどうか悩んだ末、
UPS電源のAC400VからAC100Vに降圧した電源で整流器でDC100Vを給電できることを思いつきました。
(UPSなんので信頼性が高いはずの浅はかさ)
ここで、技術コンサルタント、上司の確認、発注後のメーカーの担当者とも通過してこの設計により設備が完成しました。
使用上は、特に異常はありません。
完成後、しばらくしてベテラン設計者(ある先輩)
が気付き、次の指摘をされました。
指摘内容
プラントの電気設備の基本原則として、操作・保護がDC100V電源で成り立っている。
遮断器の操作及び保護回路は、直接バッテリーから給電されるDC100V方式でないと信頼性が低下し危険。
UPSからのDC電源では給電回路に電子回路が多数存在する。
単純にDC100V電源を給電でできれば良いとの考えではない。遮断器の保護回路の信頼性が大幅低下する。
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急遽、次の工事で直流電源装置
を導入することになりました。
内部のゴタゴタの詳細はここでは書きませんが、揉めました。
コストメリットを考えたものがさらに高い買い物になったケースです。整流器は耐用年数がきていなかった
ため、その後、何年も電気室で休んでいました。
電気設備の保護は、停電時も動作可能なバッテリーから給電されることを基本とします。
ここで理解、また一歩前進。
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